その昔あるところに、村の喉自慢大会があれば勇んで出かけ、
芝居となれば台本を作り、
宴会となれば踊り続ける少年がいました。
ある時、とある舞台を観て涙したその少年は、その瞬間、
舞台で演ずる側に将来なろうと決意したのでした。
そして長い年月の末に巡り巡って出会った「フラメンコ」。
やがて青年となったかつての少年は、
そこに自分の歩むべき道を見つけたのでした。
乾いた地アンダルシアの叫びのような踊り「フラメンコ」。
強靭な肉体からふりしぼられ、そして湧き出る感情の塊は、突き出されるブラソ、踏み鳴らされるサパテアード、ひねり上げられる身体を通して観る者の心を捉えて離しません。
しかし、いざやるとなると形式の習得の過程でどうにもならない壁にぶち当たります。
身体が台詞となって雄弁に語り、うねり上がる感情の泉と共にアンダルシアのリズムを感じれた時、きっと自分自身のフラメンコが形づくられていくのだと思います。
でもそれは長く永く遠い果てにあるもの。 その瞬間を見たい為に表現者の宿命として日々の鍛錬が課されるのでしょう。
しかしながらフラメンコを踊る日本人として決して乗り越えられないであろう民族的文化的な隔たり。
「踊るとは？」 「フラメンコとは？」
こう問いかけない日はありません。
フラメンコの神にココロを奪われたこの一人の日本人は、いつかその答えが出る日を夢見て、いやその答えを見つける為に、自らの歩みを止めるわけにはいかないのです。
長くて苦しい航海ですが、しかしその間には数々の発見の喜びや大いなる楽しみがあるのも事実です。 旅の途中で学び得た多くのものを惜しみなく伝授しながら、それらを皆さんと共有することは、私の大きな喜びであります。
「踊りたい！」 「フラメンコしたい！」 「上手になりたい！」
そんな気持ちを心ゆくまで応援しながら、Estudio TETE はアートの原石が芸術へと昇華していく場として機能していく事を願ってやみません。
